「骨盤矯正ダイエット」の大きな誤解
 近年ではカイロプラクティックもかなりメジャーな治療となりつつあります。まだ治療を受けた事がない方も多数いらっしゃるでしょうが、少なくとも「カイロプラクティック」という言葉に聞き覚えくらいはあるのではないでしょうか。100年余りのカイロプラクティックの歴史の間に様々な流派が生まれ、カイロドクターそれぞれにも流派の好みや治療の考え方に個性が生まれてきました。そんな中で1990年代後半辺りから日本国内において「カイロプラクティックが美容に効果がある」という噂が広まり始め、またたく間に全国に美容カイロブームが巻き起こりました。それまで無骨で陰気なイメージ(ボキボキ・痛そう・怖い・何をされるかよく分からない 等)だったカイロプラクティックも、これをきっかけとしてスマートで寄り付きやすいイメージに変わっていったのです。当院がある福岡県筑後地方におきましても、少し遅れて2000年を少し過ぎた頃から徐々にブームが始まり、当院の患者さんの顧客層もしばらくの間は7〜8割が20〜30代の女性で占められる程に反響を呼びました。このブームがカイロプラクティックをよりメジャーな治療に押し上げたと言っても過言ではないでしょう。初めてカイロを受けたのがこの時期だという方も多いのではないでしょうか?。
 「美容にはカイロ(整体)」というような広告や看板が多く見られるようになると競争も激化し、宣伝もより過激なものとなっていきます。「骨盤矯正ダイエットで○○キロ減!!」等・・・。しかし、この過剰な広告が世間の誤解を招いてしまいました。本来、体重を決める要素とは何でしょうか?それは紛れもなく「摂取カロリーと消費カロリーとの差」です。食べるばかりで一切運動をしなければ、余ったエネルギーは脂肪として体に蓄積され、どんなに健康な人でもほぼ完璧に太ります。逆に消費カロリーが摂取カロリーを上回れば必ず痩せる訳ですが、「痩せたいけれど運動はキツイから嫌だ」というのが世の常ですから、多くの方が楽して痩せる方法を探して「○○ダイエットブーム」が起こるのでしょう。骨盤矯正(当院では骨盤だけでなく背骨も矯正しますので『骨格矯正』と表現しますが)でどんなにバランスの良い健康な身体を作れたとしても、家にこもりっきりでカロリーを消費しない生活に変化がなければ「やっぱり骨盤矯正では痩せなかった」という結果になる訳です。最近骨盤矯正ダイエットブームが過ぎ去った感があるのは、この「骨盤(骨格)を矯正すれば楽して体重が減る」という誤解が皆さんを過剰に期待をさせてしまい、結果的にカイロプラクティックがその過剰な期待に応える事ができなかったからではないでしょうか。
 補足1
 よく「○○分のウォーキングで○○キロカロリーの消費」というような言葉を耳にします。この表現自体は間違いではないのですが、皆さんはこの表現の意味を「ウォーキング中はカロリーを消費するけれどウォーキング時以外の時間帯では全くカロリーを消費していない」と解釈されていませんか?。この解釈は間違いです。実は呼吸しているだけでも、もしくはトイレに行くだけでも、もしくはテレビを見ているだけでも、更には寝ている時や食事を取っている最中ですら、人間は体温調整やその他内臓のコントロール等の生命維持のためにカロリーを消費し続けているのです。この安静時におけるカロリー消費量の事を「基礎代謝」と言います。これは車の燃費とよく似ていると思います。身体の安静時は車に例えるとアイドリング時と表現できるでしょう。一般的には「排気量の大きい車の方が燃費が悪い」と言いますね。この排気量に相当するのが人間で言うところの「筋肉量」にあたります。基礎代謝は筋肉量と比例していて、筋肉を鍛えて強く・太くした方が安静時におけるカロリー消費量も多くなるのです。私共が「痩せたければ運動しなさい」と指導するのは、運動したその瞬間のカロリー消費量をあてにしているのではなく、運動によって筋肉量を増やす事で基礎代謝を高めて、安静時でも多くのカロリーを消費する身体に変える事を目的としているのです。運動(ウォーキングや水泳等の全身運動が理想)を始めて数週間程度ではさほど体重に変化はない筈ですが、鍛えられて筋肉量が増えてくる頃には基礎代謝も上がり徐々に体重も落ちてくる筈です。ここまでくれば、後はその筋肉量を維持する事と適量の食事を維持する事(減らしすぎはお勧めできません)だけを考えておけば良いので、運動の頻度は多少減らしても問題はないでしょう。当然、基礎代謝が上がれば、運動時におけるカロリー消費量も増える事になりますので、運動の頻度を減らさなければ、ダイエットの効果はより早く・高く現れる事でしょう。
 食事制限のみのダイエットは身体に危機感を与えます。摂取カロリーが極端に減りますので身体はその状態を「飢餓」と捉えるのです。次の食物が手に入るまでに生き延びなければなりませんので、筋肉量を極限まで減らして基礎代謝を下げる事で身体に蓄積されているエネルギーを温存しようと試みるのです。仮に痩せたとしても、基礎代謝が下がった状態では新たに摂取したカロリーを上手く消費してくれず、以前と同じ食事量に戻した時に以前と同じようにカロリーを消費してくれないために、これがリバウンドとなってしまうのです。
 以上の事を参考にして、運動を中心とした健康的なダイエットで上手に体重をコントロールして下さい。
 本当の意味での「美容とカイロプラクティック」とは?
 ここまでの内容だと「カイロプラクティックと美容には全く関連性がない」と思われるかもしれませんが、決して無関係ではありません。実は、皆さんが体重と同じくらい気にしていらっしゃる「身体のライン」に対しては大きな効果が期待できるのです。周りを見渡してみると意外と見つけることができませんか?「痩せているのにウエストのくびれがなく、ずん胴な体型の方」・「若いのにお尻が垂れている方」。体重計の数字ばかりを意識しがちですが、どんなに痩せていてもずん胴でお尻が垂れている状態を喜ばれる方はいらっしゃらない筈です。そもそもウエストのくびれは何の為にあるのでしょうか?それは「腰を動かしやすくする為」です。動く必要がある部分が太過ぎると、肉がつっかえて邪魔になり上手く動かせません。ウエストのくびれのおかげで人間は軽快な動きができるのです。しかしその動きの良さも、バランスの良い骨格があってこそのものです。別のページでも述べましたように、他の動物と違い人間の背骨には「身体の柱の役目」という特殊性が存在しております。柱である以上はそれなりの強度を必要とする訳で、その強度を確保した上で、動く為の柔軟性も同時に持ち合わせているのです。この相反する2つの目的を絶妙なバランスの上で成り立たせているのですが、背骨がズレる事によってこの強度と柔軟性を両立させる為のバランスがたちまち崩れてしまいます。この場合、身体は不足した強度を回復させる事を優先させる為に、柔軟性を放棄して関節を硬くしていきます。と同時に強度を補う為に腰周りに補強材としての筋肉を新たに付けますので、これが「くびれのないずん胴な腰」に見える訳です。このような方は大抵「身体が硬い」という自覚をお持ちの筈で、腰痛や生理痛などにお悩みの方も多いのではないでしょうか?。柔軟性のない腰のままで丸まった姿勢を多くとってしまいますと、腰に丸まり癖がついてしまいます。腰が丸まった状態では骨盤が後ろに倒れてしまい、これが「垂れ尻」となります。お尻の筋肉をいくら鍛えて引き締めても、ヒップアップしたという実感が得られない方はこの骨盤の後傾が原因です。同じく丸まり癖のついた腰は背中にも影響を及ぼしてしまい、これが「猫背」となります。猫背の状態では肩はすぼまり首は短くなってしまい、相対的に顔が大きく見えてしまいます。同じく猫背の姿勢では肋骨の前側が下がってしまい、バストが垂れて見えてしまいます。下がった肋骨と骨盤とに挟まれて行き場をなくしたお腹の肉は前にはみ出すしかありません。姿勢が良くなるだけでもお腹はスッキリ細く見えるものです。バランスを崩した上半身を無理して支える為におかしな立ち方となり、これが「O脚・X脚」や「脚線のいびつな湾曲」を引き起こしてしまいます。同じくバランスの悪い上半身を支える為には大きな力を必要としますので、下半身に補強材としての筋肉を新たにつけて「下半身太り」になってしまいます。カイロプラクティックで骨格を矯正すれば、これらの不具合は改善されるでしょう。「カイロプラクティックを受けるだけで(他には何もしないで)体重が減るか?」というご期待には沿えることはあまりできないかもしれませんが、体重に大きな変化がなくとも「メリハリのある美しい体型作り」には貢献できる筈です。体重計の数字だけを美容の基準としないで、視点を変えてカイロプラクティックを受けてみませんか?。
 自律神経が安定すれば
  これまでは骨のズレが美容に与える「物理的な影響」を述べましたが、もう一つ重要なポイントがあります。それは骨のズレが美容に与える「神経学的な影響」です。
 先ほど「カイロプラクティック療法では体重が減らない」という風に述べましたが、全く関連がない訳ではなく、補助的には関連があります。別のページでも述べましたように、カイロプラクティックでは「背骨の中に脊髄神経が通っている為に骨格の歪みは神経系にも悪影響を及ぼす」と定義していて、そのような理論に基いて、骨のズレが血行不良や発汗異常等の「自律神経失調症」を引き起こすと考えています。骨格の歪みによって自律神経が不具合を起こした血行不良な身体では、上手くエネルギーや酸素を循環させる事ができず、筋肉の条件的には基礎代謝の高い身体であっても運動時におけるカロリーの燃焼効率が悪くなって、運動しても痩せにくい状態になってしまいます。エネルギーを必要としている筋肉に栄養や酸素が行き渡らない状態では短時間の運動でもすぐに身体が辛くなり、ヤル気も起こらなくなってしまいます。そもそもひどいズレがあると肩こりや腰痛も辛い筈ですから、それも運動が嫌いになっている要因の一つに挙げられるでしょう。骨格を矯正する事によって軽快な身体に変わると、運動することに対して気持ちの抵抗もなくなり、同時に「燃焼しやすい身体」にも変わっていますので、運動をした時に効率よくカロリーを消費することも可能になる筈です。全くの運動不足の方が二人いて、その内の一人がカイロを受けても二人の体重の差はさほどないであろうと思われますが、ダイエットの為に運動を続けている方二人の場合、一方がカイロを受けているならば、もう一方の受けていない方よりもダイエットの成功率は高い筈という事になるのです。スポーツジム等でダイエットにトライしている方やこれから始めようとされている方はぜひ同時にカイロプラクティックも試されてみてはいかがでしょうか。
 自律神経の不具合は他にも美容に対する悪影響を引き起こします。血行不良な状態では顔色も悪く、健康的には見えないでしょう。自律神経失調症の方は不眠・便秘・発汗異常になりやすい傾向にあり、肌荒れにお悩みの方も多いのではないでしょうか。血液・リンパの循環が悪くなればむくみも出やすくなり、足が太く腫れ上がってしまいます。体調の悪さは気分を害しますので、眉間にシワのよった不機嫌な顔では印象を悪くしてしまいます。
 「健康」と「美容」はどちらか一方だけでは成立し得ないものです。健康面で不具合を感じていらっしゃる方の大半は、同時に美容面においても不満を感じていらっしゃる筈です。これは健康・美容の不具合の原因が同一のものであるからで、その原因を正せば健康・美容のどちらとも良くなるのです。健康・美容の改善の為に栄養面や生活習慣等を見直す方法は割と昔から行われていました。実際に実践済みの方も多い筈です。しかし、健康・美容の管理の為に「骨格矯正」にスポットを当てる事は今までは余りありませんでした。色々なケアをお試しなさった方で、いまだに満足のいく結果が得られていない方はひょっとしたら「骨のズレ」が原因かもしれません。ぜひ一度カイロプラクティックをお試しください。
 適応症状
― 骨格の歪みによる物理的な不具合 ―
O脚・X脚、下半身太り、脚線の悪さ、垂れ尻、ウエストのくびれが少ない、猫背、バストの下がって見える、お腹の出っ張り、首が短く見える、なで肩 等
― 骨格の歪みによる神経症状を原因とした不具合 ―
血行不良による顔色の悪さ、不眠・便秘・発汗異常等を原因とした肌荒れ、体調不良にストレスを感じる事による表情の悪さ 等
 補足2
 骨格を矯正すれば健康面・美容面共に調子は良くなりますが、その効果のタイミングには多少の時間差があります。身体に大きな障害がなく、割と普通に生活をしていらっしゃる全ての方には必ず「筋力」「体力」が備わっています。「若い頃と比べると筋力・体力が落ちたな」と思っていらっしゃる方でも、歩く事ができれば最低でも「歩く為の筋力・体力はある」という事です。「体調を悪くする」というのはこの筋力・体力が骨のズレに耐え切れなくなった状態の事を指すもので、筋力・体力が骨のズレを十分にかばう事ができている内は体調の悪さは感じないのです。つまり、体が歪み始めて、美容面においてはすでに不満を感じていらっしゃる状態であっても、筋力・体力が限界に達していなければ、まだ体調の悪さにまでは至らない期間が存在するという事になるのです。肩こり・腰痛やその他の体調不良を治しつつ、美容面の効果も期待して治療を受けていらっしゃる方ですと、何回か矯正を受けて骨のズレが徐々に減っていき、身体が歪みに耐えきれるようになる頃には体調は良くなるでしょう。しかし、その時点においてはまだ骨格が完全に真っ直ぐになっている訳ではありませんので、美容面における不満は残る事になると思います。でも「美容面には効果がなかった」とガッカリされないで下さい。もうしばらく治療を続けていると、更に骨格のバランスが良くなり、見た目の変化にも気付くようになる事でしょう。